第三世界の経済 4
19世紀から20世紀にかけて、このナショナリズムというイデオロギーが、なぜ、先進国の近代化に大きな力をもったかというと、それは、20世紀前半までの近代化が、国民市場―国内市場の範囲で展開していたからにほかならないです。
近代国家が成立する場合、日本のように単一民族の場合もあれば、イギリスのように、ウェールズ、イングランド、スコットランド、さらに北アイルランドまでをも含めた連合王国として成り立つ場合もあります。
また、アメリカのように多種多様な移民が創り出したケースもあり、単に民族的な同一性が近代国家の条件とはいいきれないのです。
近代国家の単位とは、民族よりも経済的に共通の市場が成り立つ単位です。
国民市場というひとつの近代化のユニットが成り立つ単位、これが国民国家なのです。
いままで国民国家が存在するがゆえに国民市場があると考えられてきたのですが、実際には、まず単一の市場が形成され、その範囲において国民国家が生まれてきたと考えるほうが、より正確でしょう。
ナショナリズムとは、この国民国家の単位を基盤とした近代化を推進するイデオロギーとして、その意味があったのです。